昔からよく聞く言葉で「サービス残業」というものがあります。あなたは自分が残業した分の手当をしっかりと貰っていますか?上司からのパワハラに逆らえず、言い出せないままに強要されてはいませんか?
昨今、「コンプライアンス(企業などが、法令や規則をよく守ること)」が厳守されるようになりましたが、サービス残業を行っている会社もまだまだ少なくないようです。
今回は未だに問題視されているサービス残業の実態と、パワハラや法律違反には該当するのか。自主的?なパワハラはどうなるのかなど気になる点を私の実体験も交えてご紹介していきます。
目次
サービス残業とは?その実態

サービス残業とは雇用主が正規の賃金(労働基準法が定める時間外労働手当)の全額を支払わず、その責任を逃れる「時間外労働」の俗称です。雇用主という立場を利用し、労働者に対して強要を用いることが一般化されています。
コンプライアンスが厳守されるようになり、一昔前よりは減少したと言われていますが、まだまだ根深く残っているというのが現状のようです。サービス残業を強要されている労働者は賃金が支払われないのにも関わらず、どうして断ることが出来ないのでしょうか。調べてみました。
サービス残業が断れない理由
- 新入社員だから上司のいうことに逆らえない。断ると気まずくなりそうで気が引ける(24歳/営業)
- 周りの人もやってるし、パートさんもしてる。社員の自分だけ断るわけにはいかない(23歳/販売)
- 仕事が多くて業務中に終わらない。残業になると本社に怒られるという理由でつけてもらえない(21歳アパレル)
- 「サービス残業は当たり前」という社風で意見できない(24歳/販売)
- 定時で帰ろうとすると嫌な顔を上司にされるから仕方がなく(26歳/コンサルタント)
「自分が新人だから」「周りもみんなやってるから」「上司に言われると怖くて断れない」など、何かしらで引け目を感じて、おかしいと思いながらも断れないという意見が多く見られました。
実は私が最初に就職した会社も「サービス残業は当たり前」の社風でした。タイムカードが手書き(改ざんされ放題だったと思います。)最初こそおかしいと講義しましたが、上からの圧力で従うしかありませんでした。上司からの強要はそれくらい脅威になり得るのです。
サービス残業の強要はパワハラ?
はい、パワハラです。そもそも労働者は「労働基準法」に守られていて、時間外労働が発生した場合は雇用主は割増賃金を支払わなければなりません。よって「サービス残業」という言葉と実態があること自体がおかしなことなのです。
パワハラの定義とは
パワハラ=パワーハラスメントの定義とは、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を利用し、業務上の適正範囲を超えて、精神的・肉体的に苦痛を与え、職場の労働環境を悪化させる行為を指します。パワハラの例を一部みていきましょう。
- 精神的な攻撃(暴言を吐かれる等)
- 人間関係の切り離し(一人だけ会議から外される等のいじめ行為)
- 個人情報への侵害(家族や恋人のことを悪く言われる等)
- 過大な業務の押し付け(サービス残業の強要)
パワハラの心身的苦痛により、近年では精神障害を患ってしまう方が多く、労災補償を受けるケースが増加しています。
平成28年度の精神障害での労災補償状況は「請求件数が1586件」「支給決定件数は498件」と前年よりも26件の増加となっています。年度を追うごとに相談数、申請数共に増加傾向にありパワハラによる問題性が浮き彫りとなる形になっています。
自主的サビ残は法律違反?
では強要をされた訳ではなく自主的にサービス残業を行った場合は法律違反になるのでしょうか。強制的なサービス残業も問題視さていますが、自主的なサービス残業も問題視されている1つです。
「仕事が時間内に終わらない」「もう少し仕事を進めておきたい」など、周りに迷惑をかけたくない。という理由でサービス残業をする労働者も見られますが、企業側からしてみたら、強要したわけでもないのに勝手に残られたら迷惑以外の何者でもありません。自主的サービス残業が良くないとされる理由は以下のとおりです。
- 不退去罪に問われる可能性がある(会社側が退去命令をしたにも関わらずサービス残業を行った場合)
- 会社側が強要していなくても、時間外労働を指示しているとみなされ会社や上司が労働法違反に該当して迷惑をかけてしまう場合がある
会社側も労働者側も罪に問われる可能性がある自主的サービス残業は絶対にやめましょう。また、業務時間内に終わらなかった仕事をサービス残業で終わらせたとしても、周りには「仕事がはやい人」だと過剰に期待されてしまう恐れもあります。自分自身の負担を増やすことにもなりかねませんので、絶対にやめましょう。
サービス残業が当たり前と思わないで
サービス残業は労働基準法の強行法規に違反するため、法律違反となります。労働者はきちんとこの労働基準法に守られています。不当な時間外労働があった場合、その分の正規の割増賃金を請求することができる事を覚えておきましょう。
サービス残業は当たり前ではありません。言葉があること自体がおかしいのです。
「みんなやっているから」「断れないから」と諦めてしまわないで、勇気をだして意見をしましょう。
もし直接言い出せないようでしたら総合労働相談コーナーに相談するのも1つの方法です。各都道府県労働局、全国の労働基準監督署内などの380か所に設置があります。ひとりで悩まず相談しましょう。どこかで絶たなければサービス残業の強要はなくなりません。
まとめ
今回はサービス残業の強要はパワハラにあたるのか、また法律違反にはなるのかという疑問をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。コンプライアンスが厳守されるようになってから数年が経ちますが、まだまだサービス残業は無くならず、労働環境に苦しんでいる労働者が多く存在するのが事実です。
企業側もその重大性に気がつき、もっと改善策を企てていかなければ、同じ事の繰り返しになってしまうということに気が付いてほしいものです。
当たり前のことだと諦めて、精神的にも肉体的にも苦痛を強いられるのは良い環境とはいえません。勇気をもって相談、意見をしましょう。