働き方改革の残業規制法案、開始時期はいつから?給料減額など問題点も

2017年3月28日に発表された 「働き方改革実行計画」に基づく「残業規制法案」。雇用、被雇用ともに注目が集まっています。施行開始時期も発表されましたが、具体的にどのような法案なのかわからないという方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は先の働き方改革の残業規制法案について、その内容とメリット、デメリットと共に紹介していきます。

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働き方改革の残業規制法案とは?

労働基準法改正における「残業規制法案」とはどのような内容なのでしょうか。要点をまとめてみていきましょう。

  • 残業時間の上限は「月に100時間以内」になる(単月で休日労働時間を含む)
  • 40 時間を超えての労働可能となる時間外労働の限度を原則として「月45 時間かつ年 360 時間」と設定する
  • 特別条項付36協定を締結している場合に限り、上限は「年間720時間」とする
  • 上記の違反には罰則を科す

 労働基準法を残業規制ベースに改正する項目が多く見られることから、残業規制は労働基準法改正の最重要項目となっていると言ってもよいでしょう。

  • 労働時間に関する特別設置法(上記を参照)
  • 雇用対策法の見直しを実施
  • 労働契約法の改正をする
  • 派遣労働者の保護

などがあげられています。

 

アベノミクスによる労働基準法改正への背景

自由民主党の政治家・安倍晋三が第二次安倍内閣において掲げた経済政策の名称です。行った制作は「三本の矢」と言われ下記の通りです。

  1. 大胆な金融政策
  2. 機動的な財政政策
  3. 民間投資を喚起する成長戦略

結果的にこれらの政策は大きな成果を生み出しました。各項目のGDP(国内総生産)は47兆円増加。9%の成長をしました。また、有効求人倍率(有効求職者数に対する有効求人数)は25年ぶりに高い水準になり、初めて47都道府県全てで1倍を超えました。

有効求人倍率が高くなるということは企業が人を探しているという事であり、景気の回復の兆しが見えたといっても良いでしょう。

日本人のライフスタイルを考える

アベノミクスの成果を経て、次に政府が考案したのが「働き方改革」です。日本の「働く」という考え方そのものを見直していかなければ、サービス残業(時間外労働手当のない残業)はいつまでたっても無くなりません。

以下、政府が考察した長時間労働のデメリットです。

  • 労働者の健康面、精神面への侵害
  • 仕事と家庭の両立が困難
  • 少子化への要因
  • 男性の家庭参入を阻む要因
  • 仕事へのモチベーション低下
  • 女性のキャリア形成を阻む要因
  • 高年齢層が仕事に就きにくい

 「働きかた」は「暮らしかた」そのものです。人々のライフワークバランスを取ることによって、生産性もあがるとの見越しからトータルな意味での改革を政府は考えました。

 残業規制法案の施行開始時期は?

残業規則法案の気になる施行開始時期ですが、「2019年4月」の予定となっています。2018年はいわば、準備期間といったところです。

年次有給休暇所得促進を目指す動き

政府が掲げる改正法案への考え方に「ライフワークバランスの重要性」があります。実際、有給休暇を消化できていない人も多いのではないでしょうか。

日本は国際的にみても年次有給休暇所得と消化率が非常に低い国です。

  • 「病気や急な用事のために残しておきたい」
  • 「いざという時(親の介護など)のために備えておきたい」
  • 「周囲の人間が取らないので取りにくい」
  • 「休むと他の人の仕事が増えて迷惑がかかるから」

といった意見が多くみられました。

参照『年次有給休暇の取得に関する調査』 独立行政法人 労働政策研究・研修機構 2011

曖昧だった年次有給休暇の取得も改正されることになり、内容としては

  • 年間5日以上の取得

    が義務付けられ、更に労働基準法に明記することにより、違反した場合、罰則も適用させようとしています。この案は2019年4月の改正予定を待たず、2018年4月より施行されるのではないかとされています。
     

残業規制の問題点は?給料が減る?

前向きな事ばかりのように感じる残業規制。問題点もあるといわれています。時間外労働手当をきっちりと貰っていた人からすれば、残業時間が減ってしまえば給料も減ってしまうので良いことばかりではないのかもしれません。

また残業規制での上限特例について「100時間未満」と提示されていますが、これではまだ多いとの意見があるようです。

「過労死ライン」と言われる時間外労働時間をご存知でしょうか。それによりますと月の時間外労働時間は「80時間」といわれています。今回の改正で提案された「100時間未満」は「過労死ライン」を超えてしまっています。

今後更に最低でも「80時間未満」までの見直しが必要とされてくる。という意見が多くあるようです。

残業と給料のバランスが取れた会社は多い

そもそもを言えば残業と給料のバランスが取れた会社は多く存在します。また、残業も「やりたくない」という人たちばかりではないことも事実です。

  • 月に10時間くらいの残業ならプライベートに支障がないし給料も増えるから助かる(23歳/事務)
  • 1日30分くらいなら許容範囲。元の給料に上乗せになるし嬉しい(30代/IT)
  • 残業しないと収入が多いわけじゃないから逆に困る(28歳/販売)
  • 子供もまだ小さいし残業は給料が上乗せされるので嬉しい(27歳/パート)
  • ダブルワークするくらいなら本業で残業代がついたほうが効率的(35歳/パート)
  • 子供の学費にお金がいるので、ある程度の残業は逆に有難い(40歳/パート)

過度な残業はストレスになるが、程良い残業はメリハリがついて良いという意見もありました。また、残業代が給料に上乗せされることにより、生活に余裕がでてくるという意見もあり、誰しもが残業について悪く思っているわけではないようです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は2019年4月に迫る労働基準法改正の中でも最重要項目となる「残業規制法案」についてご紹介しました。メリットもデメリットも両方ありそうですが、施行されてしまえば従うしかないのが現実です。

改正される項目が複数ありますので、ぜひ参考にして頂ければと思います。ご自身が損をしないように内容をしっかりと理解して改正施行に備えてください。

 

 

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